ヒューマノイドロボティクス向け EtherCAT およびリアル タイムソフトウェア



業界概要
ヒューマノイドロボティクスは、製造、物流、医療、サービス業、災害対応など幅広い分野において、人間のような動作、認識、意思決定を再現することで、オートメーション分野における最先端のイノベーションを牽引しています。これらの高度に複雑なシステムは、数十に及ぶ同期されたサーボ軸、リアルタイムのセンサーフィードバック、そして高度なAI処理を、小型の組込みプラットフォーム上に統合しています。
自然な動作、リアルタイムのバランス制御、状況認識といった厳しい要求に対応するため、ヒュー
マノイドロボットの開発には、超低遅延通信とシステム全体にわたる精密な同期制御が不可欠です。acontis technologies は、先進的な EtherCAT およびリアルタイムハイパーバイザソフトウェアを通じてこれらの要求を実現し、次世代ヒューマノイドプラットフォームにおいて、滑らかな動作、高度な適応性、リアルタイム応答を可能にします。
業界における課題


マルチ軸の協調動作制御
ヒューマノイドロボットは、背骨、腕、脚、手などに多数のサーボ制御関節を有しており、30~40軸以上の同期制御が求められることも珍しくありません。人間らしい自然な動作を実現するには、サブミリ秒レベルの精度と完全な決定論的同期が必要です。
acontis の EC-Master EtherCAT メインデバイス(EtherCATマスター)スタックは、最小限のジッタで超高速通信を実現します。Distributed Clocks(DC)や Split Frame Processing などの高度な機能により、複雑な全身動作においても、高度に同期された滑らかな関節動作を可能にします。さらに、acontisが提供する最適化されたリアルタイム Ethernet ドライバにより、EtherCATの性能と信頼性を大幅に向上させます。
また、EC-Motion EtherCAT モーション制御ライブラリにより、追加ハードウェアを必要とせず、CiA402準拠のサーボドライブを制御可能です。PLCライクなインターフェースを提供し、単軸・多軸の両方の動作に対応しています。速度、加速度、減速度、ジャークといったパラメータに基づき、滑らかでジャーク制限された軌道を生成する機能を備えています。ドライブはCSP(位置同期)およびCSV(速度同期)モードで動作可能であり、ヒューマノイドにおける全身協調制御に適しています。

センサーフュージョン、フィードバックループ、および安全性
ヒューマノイドは、IMU、トルクセンサ、エンコーダ、LiDAR、マイクなど多様なセンサをリアルタイムで統合して動作します。これらのセンサ情報は単一の制御サイクル内で取得・統合・応答される必要があります。
acontis の EC-Master は高頻度フィードバックループと分散デバイス間の精密なタイムスタンプ機能をサポートし、リアルタイムなセンサーフュージョンと応答制御を可能にします。また、EC-Monitor により、実行時性能に影響を与えることなくネットワーク解析が可能です。
さらに、AI処理やセンサーデータ処理の増大する要求に対応するため、acontis は NVIDIA と連携し、Jetson(OrinやThor)プラットフォーム上で最適化された EtherCAT 性能を提供しています。これにより、画像・音声・動作データのリアルタイム解析と、EtherCATに求められる高精度制御を同時に実現できます。
安全性も重要な課題であり、人との協働環境では特に重要です。EC-Master はブラックチャネル原則に対応し、FailSafe over EtherCAT(FSoE)との互換性を確保するとともに、安全イベント発生時でも通信の継続を可能にします。これにより、安全関連通信と通常制御通信を同時に扱うことができます。

決定論的リアルタイム通信
動的なバランス維持や衝突回避、外部環境の変化への対応には、メインデバイスと各デバイス間における低遅延かつ信頼性の高い通信が不可欠です。
acontis の EtherCAT メインデバイスは、マイクロ秒レベルの決定論的応答性を提供し、ジッタや遅延を最小化します。これにより、歩行、階段昇降、外乱応答といった重要な動作における安定性を確保します。
また、複数の制御ループ(運動学、バランス制御、センサ取得など)を持つシステムにおいても、全体にわたるスケーラブルな決定論的通信構成を実現します。
さらに、ROS 2 環境との統合にも対応しており、EtherCATによる決定論的制御と、AI・認識・行動計画を統合したシステム構築が可能です。

ハードウェアリソース制約
ヒューマノイドでは、実装スペース、消費電力、発熱が重要な制約となります。特にバッテリー駆動のシステムでは、AI処理とリソース競合しない軽量な制御ソフトウェアが求められます。
EC-Master は、NVIDIA Jetson や Qualcomm のロボティクス向けプロセッサをはじめとする主要な組込みプラットフォームで検証・最適化されています。高い効率性によりCPU負荷を最小限に抑え、発熱も低減しながら、AI推論や認識、ナビゲーションといったミッションクリティカルな処理に対して、CPUリソースの99%以上を確保することが可能です。これにより、バッテリー駆動を前提としたヒューマノイドにおいて重要となる、バッテリー寿命やシステム応答性の向上に寄与します。

モジュール化およびホットプラグ対応エンドエフェクター
acontis の EC-Master 向け Hot Connect 機能パッケージを利用することで、ヒューマノイド開発者は、デバイスの動的な追加および取り外しに対応したモジュール型アーキテクチャを設計することが可能となります。これにより、開発時の検証用途や現場でのタスク変更に応じて、新たなエンドエフェクタやツール、サブシステムをシステム停止や再構成を行うことなく追加でき、稼働率やリアルタイム性能を損なうことなく柔軟な運用を実現します。
また、acontis は EtherCAT シミュレーションライブラリである EC-Simulator も提供しています。本ライブラリは、EtherCAT メインデバイスアプリケーションの検証に活用可能であり、例えば SubDevice の故障やケーブル断といった、実機では再現が困難または不可能な各種エラー状態を意図的に発生させることができます。これにより、より網羅的かつ効率的なシステム評価および信頼性検証が可能となります。